日本介助犬協会を支援する
モデルケースAさんの場合

福祉機器展にヘルパーさんと一緒に出掛けたAさん。
自分と同じく車椅子に乗っている人が
『介助犬』と書かれたケープを着ている犬を連れているのを見かけました。
介助犬を初めて知ったAさんでしたが、興味は持ったものの、
「自分よりもっと重度の人しか持てないのだろう」と思ったそうです。

その後、介助犬のことはすっかり忘れていましたが、
ある日テレビで介助犬が取り上げられているのを見て、
自分にも持てるかもしれないと思い始めました。

情報収集
まず、市の『障害福祉課』に問い合わせをして介助犬と育成団体についての資料をもらいました。インターネットで検索をして、 介助犬訓練事業者のホームページをいくつか見つけ、資料を請求したり、電話で直接問い合わせたりしました。 日本介助犬協会の担当者と何度か電話で話したAさん。「いろいろと情報提供してくれて、まったく押しつけがましくない態度に好感を持ちました。 それに犬のトレーナーだけでなく、リハビリテーション科医師と理学療法士と作業療法士がチームになってサポートしてくれる体制が心強く感じました。」

2職員との対面
どんな所なのかとりあえず見てみようと、毎月開催されている見学会に申し込んだAさん。 訓練センターを見学した後、担当職員に介助犬について不安に思っていることや疑問点を話しました。 一つひとつの話をじっくり聞き、的確に答える職員を少しずつ信頼し、いろいろな話ができるようになっていきました。

※定期的に介助犬希望者の方向けの「体験会・相談会」を開催しています。詳しくは当会HPのお知らせをご確認ください。

3調査票の記入
日本介助犬協会で介助犬を持つと決めたAさんは、生活歴や通院歴、家族構成や介助犬に期待することなどを調査票に記入しました。 この調査票を元に訓練犬とのマッチングや訓練計画が具体的に進んでいきます。さらに、担当職員が自宅を訪問し、 住環境や生活の様子を見ながら、介助犬に希望する作業などを具体的に話し合います。担当職員と十分に話し合うことで、 Aさんは“介助犬がいる生活”が漠然とした夢からはっきりとした現実になっていくことを感じました。

4合同訓練の準備
合同訓練で約2週間、訓練センターに入所して生活をします。長期外泊をしたことがないAさんは事前に2泊3日で 「体験入所」をしてみることにしました。不安がいっぱいだったAさんですが、職員たちと挨拶したり、 話したり、サポートされる中で緊張気味だった顔がしだいに笑顔に変わっていきました。

※この頃にリハビリテーションセンター(指定法人)を受診して、身体の機能の程度を診てもらいます。理学療法士、作業療法士にも診てもらいます。

5訓練センターでの合同訓練
どんな犬が自分のパートナーとなるのかドキドキだったAさん。目の前に現れた犬はイエローのラブラドール、 まっすぐな瞳がAさんの瞳を見つめます。

「どうぞよろしく! さぁ、一緒に頑張ろう」。

合同訓練の最初の約2週間の始まりです。トレーナーの指導のもと、犬の行動学や飼育方法、介助犬使用者としての心構えなどを学びます。 犬を飼ったことがないAさんは苦労しながらも少しずつ犬のことを知っていきました。 うまくいかず、何回もくじけそうになったけれど、職員の励ましと、徐々にできつつある犬との信頼関係がAさんを支えました。

6自宅での合同訓練
訓練センターでの合同訓練は、基礎訓練です。実際に自宅で介助犬候補の犬との生活を開始するのが在宅合同訓練。 どのドアを開けるのか、どこで排泄をどんな方法でさせるのか、どうやって介助犬を連れて職場に通うのかなど、 生活に合わせた訓練をしていきます。常にトレーナーが一緒にいる状態から、徐々に1人と1頭での時間を増やしていきます。 自宅とは言え、生活道具であふれた場所で最初は苦戦したAさんも、合同訓練が終了する頃には1人で犬に指示ができるようになりました。

7認定審査
指定法人の認定審査を受け、合格すると介助犬使用者と介助犬のペアとして認定されます。

Aさん、おめでとうございます!
これからはやりたかったことに少しずつ
介助犬と一緒に挑戦してくださいね。

その後のフォローアップ
介助犬は貸与して終わりではありません。認定直後は年に数回、その後も年に1回以上訪問しフォローアップを行います。Aさんは進行性の障がいなので、身体の状況が変わることで介助作業を変える必要が生じることがありましたが、このフォローアップで安全に介助犬と暮らしています。